iPhoneの録音はどんな形式で保存されているか
文字起こしを始める前に、手元の録音がどの形式なのかを確認しておくと後で迷いません。iPhone 標準のボイスメモで録った音声は、通常 .m4a という拡張子のファイルとして保存されています。中身は AAC という圧縮形式で、ファイルサイズが小さいわりに話し声は十分聞き取れる品質です。
一方、カメラアプリで撮った動画は MOV 形式で保存されるのが一般的です。打ち合わせを動画で撮っておいた場合は、音声だけを取り出す必要はなく、動画ファイルのまま文字起こしに回せます。
- ボイスメモの録音
- 通常は .m4a。そのまま読み込めます
- カメラで撮った動画
- 多くは .mov。動画として読み込めます
- WhatsApp のボイスメッセージ(.opus)
- 非対応。MP3 か M4A に変換してから
- 通話録音の .amr ファイル
- 非対応。MP3 か M4A に変換してから
- 1ファイルの長さ
- 2時間まで
海外の取引先とやり取りするメッセージアプリから保存した音声は、形式がまちまちです。拡張子が .opus や .amr になっていたら、信頼できる変換ツールで MP3 か M4A にしてから使ってください。形式ごとの細かい扱いはM4A ファイルの文字起こし (英語)のページにもまとめています。
ボイスメモの録音をiPhoneから書き出す
ボイスメモの録音はアプリの中に保管されているので、まず「ファイル」として外に出す作業が必要です。手順は次のとおりです。
- ボイスメモアプリを開き、文字起こししたい録音をタップします。
- 録音名をタップして名前を変更し、「0612_定例会議」のように日付と内容がわかる名前にしておきます。初期状態では録音した場所の地名などが名前になっているため、後で探しにくくなります。
- 「…」のメニューから「共有」を選び、「"ファイル"に保存」で iCloud Drive などのフォルダーを指定します。
- パソコンで作業する場合は、Mac なら Finder の iCloud Drive、Windows なら iCloud.com や Windows 用 iCloud から同じファイルを取り出します。AirDrop で Mac に直接送る方法もあります。
iCloud でボイスメモの同期をオンにしていれば、Mac のボイスメモアプリにも同じ録音が表示されるので、そこから書き出すこともできます。メールに添付して自分宛てに送る方法も使えますが、長い録音はメールの添付サイズの上限に引っかかることがあるので、クラウドや AirDrop のほうが確実です。
mydublyで録音を文字起こしする手順と、できないこと
mydubly はブラウザで使うウェブアプリで、iPhone 用のアプリはありません。画面の表示は英語なので、ここではボタン名を英語のまま示します。処理中はタブを開いたままにする必要があるため、パソコンのブラウザで作業するのがおすすめです。スマートフォンでほかのアプリに切り替えると、タブを離れたのと同じ扱いになりジョブが止まるおそれがあります。
- ブラウザで mydubly を開き、トップページにある音声用の枠「Drop audio here」に .m4a ファイルをドラッグします。試しに動きを見たいだけなら「Use a sample recording」で内蔵のサンプルを使えます。
- 「Audio and text output」のスイッチはオフのままにします。表示が「Timestamped transcript only」になっていれば、文字起こしだけのモードです。
- 「Select language」で出力の言語を選びます。日本語のまま文字にしたいなら Japanese を選びます。翻訳されずにそのまま出力されます。英語などに訳したテキストがほしいときは、その言語を選びます。
- 「Transcribe audio」を押します。話している言語は「Source: Auto detect」で自動判別され、手動では選べません。
- 処理が終わるまでタブを閉じずに待ちます。途中でタブを閉じたりページを離れたりするとジョブはキャンセルされ、その分のクレジットは戻ります。
- 終わったら「Download transcript」で本文だけのテキスト(transcript.txt)を、「Download timestamped transcript」で時刻付きのテキスト(transcript-timestamped.txt)を保存します。
音声認識はオープンソースの音声認識モデル Whisper をベースにしています。音声ファイルと結果はジョブ終了後30分以内にサーバーから削除されます。
逆に、mydubly ではできないことも把握しておいてください。iCloud の共有リンクや URL を貼り付けて読み込むことはできず、ファイルそのものが必要です。誰が話したかを区別する話者ラベルは付かず、要約も作りません。結果を画面上で直す編集機能もないので、修正はダウンロードしたファイルを手元のエディタで行います。リアルタイムで文字にしていく機能もありません。日本語の中に英単語が混ざる話し方は聞こえたとおりに文字にしようとしますが、完全ではありません。サービス全体の説明は音声の文字起こし (英語)のページをご覧ください。
短いメモの料金:最低5クレジットの考え方
文字起こしの料金は1分あたり1クレジットで、始まった分ごとに数えます。ただし1ファイルにつき最低5クレジットかかるため、ボイスメモのような短い録音ではこの最低料金がほぼそのまま料金になります。1,000クレジットが $1 で、月額料金はありません。新規登録すると100クレジットが付与されます。
1分40秒のアイデアメモは、始まった分で数えると2分ですが、最低料金が適用されて5クレジットです。10分ちょうどの打ち合わせメモなら10クレジット($0.01)。新規登録時の100クレジットだけでも、5分以内の短いメモなら20本ぶん文字起こしできます。
短いメモを毎日のように録る人は、音声編集ソフトで数本を1本につなげてから読み込むと、最低料金が重なるのを避けられます。つなぎ目に「ここから次のメモ」と自分で声を入れておくと、テキストになった後も区切りがわかります。
なお、訳した音声を作る吹き替えは料金体系が別で、1分50クレジット、1ファイル最低100クレジットです。100クレジットの無料分で吹き替えを試せるのは、最低料金にあたる2分以内のファイル1本だけという点に注意してください。それより長い場合はクレジットの追加が必要です。
タイムスタンプ付きテキストの使い道
ダウンロードできるテキストは2種類あります。本文だけの transcript.txt はそのまま議事メモやブログの下書きに貼り付けるのに向いています。もう一方の transcript-timestamped.txt は、発言ごとに録音のどの時点だったかが付いているので、録音を聞き直す場面で役に立ちます。
00:03:12 では、見積もりは来週の火曜までにお送りします。 00:03:18 了解です。仕様の変更点だけ先にメールでください。 ※実際の書式はダウンロードしたファイルで確認してください。
たとえば取材の録音なら、引用したい発言の時刻を控えておき、本番原稿を書く前にその部分だけを再生して言い回しを確かめる、という使い方ができます。会議メモなら「決定事項」に当たる部分の時刻を議事録に添えておくと、後から確認したい人が録音の該当箇所にすぐたどり着けます。議事録全体の作り方は議事録の文字起こしの記事が参考になります。
iPhoneで文字起こししやすい録音をするコツ
文字起こしの仕上がりは、録音の段階でかなり決まります。iPhone ならではの注意点をまとめました。
- iPhone のマイクは本体の下側にあります。机に置くときは下側を話し手に向け、ケースや手でふさがないようにします。
- 机に直接置くと、ペンを置く音やキーボードの振動を拾いやすくなります。ハンカチなどを1枚敷くだけでも雑音は減ります。
- 録音中に通知のバイブが鳴ると、その音も録音に入ります。集中モードやおやすみモードをオンにしておくと安心です。
- カフェの BGM や空調の音は、人の耳以上に認識の邪魔になります。できるだけ静かな席を選び、話し手との距離を近くします。
- 会議室の広い部屋では声が反響しがちです。発言者が多いなら、テーブルの中央に置くのが基本です。
スマートフォン録音の設定についてはスマホで文字起こし向けに録音するコツ (英語)で詳しく解説しています。
テキストになった後の整え方
自動の文字起こしは、そのままでは読みにくい部分が残ります。「えー」「あのー」といった言いよどみ、同じ言葉の繰り返し、句読点の位置などです。用途に合わせて、言いよどみを除く程度で済ませるのか、文章として読みやすく整えるのかを決めておくと作業が早く終わります。この違いは素起こし・ケバ取り・整文の違いの記事で整理しています。
特に見直したいのは、人名、社名、商品名、数字です。音声認識はよく知られていない固有名詞を似た音の別の言葉に置き換えることがあります。テキストエディタの置換機能で一括修正し、金額や日付は必ず録音で確認してください。
よくあるつまずきと対処
- 2時間を超える録音は1ファイルでは読み込めません。音声編集ソフトで区切りのよいところで分けてください。分け方は長時間録音の文字起こしで説明しています。
- 冒頭に長い無音や別の言語の会話があると、言語の自動判別がずれることがあります。言語は手動で指定できないので、冒頭を日本語の発話から始まるように切り詰めてから読み込むのが確実です。
- 処理中にパソコンがスリープするとタブの処理が止まることがあります。長めの録音のときは、スリープまでの時間を一時的に延ばしておきましょう。
- 書き出したはずのファイルが見つからない場合は、「ファイル」アプリの「最近使った項目」から探すと見つかりやすくなります。
よくある質問
iPhoneのボイスメモはそのまま読み込めますか?
はい。ボイスメモの録音は通常 .m4a 形式で、mydubly はこの形式に対応しています。アプリの中から「共有」で「ファイル」アプリやパソコンに書き出し、そのファイルを音声用の枠にドラッグしてください。
iPhoneのブラウザだけで完結できますか?
mydubly はウェブアプリなので専用アプリはありません。処理中はタブを開いたままにする必要があり、ほかのアプリに切り替えるとジョブが止まるおそれがあるため、パソコンのブラウザで作業するほうが確実です。
3分のメモだといくらかかりますか?
文字起こしは1ファイル最低5クレジットなので、3分のメモは5クレジットです。1,000クレジットが $1 なので、1セントにも満たない額です。新規登録時の100クレジットで、短いメモなら20本ほど試せます。
話している人ごとに分けて文字にできますか?
できません。mydubly には話者を区別してラベルを付ける機能がありません。会議の録音なら、時刻付きテキストを見ながら録音を聞き直し、発言者名を手で書き足すのが現実的です。
iCloudの共有リンクを貼るだけで文字起こしできますか?
できません。URL やリンクからの読み込みには対応していないため、録音ファイルを手元のパソコンに保存してから読み込んでください。
日本語の録音を英語のテキストにできますか?
できます。「Audio and text output」をオフのまま「Select language」で英語を選べば、訳されたテキストと字幕が出力されます。料金は文字起こしと同じく1分1クレジットです。
