活用例

会議の録音から議事録を作る:文字起こしを使った実務の流れ

議事録の文字起こしは、会議の録音をテキストにする「下書き作り」と、そこから決定事項・担当者・期限を抜き出す「整理」の2段階に分けると、ぐっと楽になります。この記事では、録音の取り方から聞き直し、議事録の形に整えるまでを、社内の定例会議を例に説明します。

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ご注意:mydubly の操作画面は現在英語のみです。日本語音声の文字起こし、日本語への翻訳、日本語音声の生成には対応しています(ボタンの表記が英語になります)。

議事録づくりで文字起こしが役立つ場面

議事録には大きく分けて、発言をほぼそのまま残す逐語録に近いものと、決まったことだけを短くまとめる要点型のものがあります。理事会や審議会のように「誰が何を言ったか」を後から確認できることが求められる場では前者が、部署の定例やプロジェクト会議では後者が一般的です。

文字起こしはどちらの形式でも「材料」として役立ちます。会議中にメモを取りながら発言を追うと、大事な数字や期限を書き漏らしがちですが、録音と文字起こしがあれば、会議中は議論に集中し、後からテキストを見ながら確認できます。

一方で、文字起こしをそのまま議事録として配るのはおすすめしません。話し言葉には「えーと」「あの」のような言いよどみや言い直し、脱線が多く、読む側にとっては長すぎるからです。文字起こしは下書き、議事録は編集した成果物、と分けて考えるのがコツです。

  • 逐語に近い議事録が向く会議:理事会、審議会、労使協議、マンション管理組合の総会など
  • 要点型の議事録が向く会議:部署の定例会議、プロジェクトの進捗会議、取引先との打ち合わせ
  • 文字起こしが特に効くケース:議論が長い、数字が多い、担当者が多い、欠席者に経緯を共有したい

録音の段階で仕上がりがほぼ決まる

文字起こしの品質は、ツールの性能よりも録音の状態に大きく左右されます。会議室では、ICレコーダーやスマートフォンをテーブルの中央に置き、エアコンやプロジェクターの吹き出し口から離します。資料をめくる音やキーボードの打鍵音は意外と大きく拾われるので、録音機の下にハンカチを一枚敷くだけでも机の振動音が減ります。

Web会議の場合は、会議ツールの録画・録音機能で保存したファイルを使うのが一般的です。参加者がそれぞれ自分のマイクで話すため会議室の録音より聞き取りやすいことが多い反面、通信が不安定な人の声は途切れがちです。

  • 冒頭で「本日は営業部の定例会議です。出席者は佐藤、鈴木、田中です」と読み上げておくと、議事録の見出しを書くときに役立ちます
  • 発言の前に名前を名乗ってもらう(「鈴木です、その件ですが」)と、話者の区別を手作業でつけやすくなります
  • 複数の人が同時に話すと、どちらの発言も崩れやすくなります。司会が「では佐藤さんから」と順番を回すだけで改善します
  • 録音を始めたら、最初の数十秒を再生して音が入っているかを確かめます

録音の前に、参加者へ「議事録作成のために録音します」と一言伝えるのは、マナーとしても社内ルールとしても大切です。スマートフォンで録る場合はスマホ録音を文字起こし向けにする設定 (英語)も参考になります。

文字起こしの下書きを作る

録音ファイルができたら、文字起こしツールにかけて下書きを作ります。手元のPCでWhisperを動かす、Web会議ツールの記録機能を使う、ブラウザで使える文字起こしサービスを使う、などの方法があります。どれを選ぶにしても、出力には誤変換が含まれる前提で考えましょう。

議事録で特に問題になりやすいのは次の3つです。

  • 社内用語や略語:「稟議」「キックオフ」のような一般的な言葉は正しく出やすい一方、社内だけのプロジェクト名や製品コードは別の言葉に置き換わりがちです
  • 人名:「斉藤」「斎藤」「齋藤」のように読みが同じで漢字が違う名前は、音だけでは判別できません
  • 数字:「十五日」と「五十日」の聞き違いや、金額の桁の誤りは、議事録では致命的です

ここで全文を細かく直そうとすると時間がかかります。議事録に載せるのは発言の一部だけなので、下書きの段階では「議事録に使う部分だけを正確にする」と割り切るのが効率的です。

タイムスタンプで聞き直す箇所を絞り込む

タイムスタンプ付きの文字起こしがあると、怪しい箇所の録音をすぐに再生できます。たとえば次のような行が出てきたとします。

タイムスタンプ付きの下書き例

[12:48] 来月のリリースは十五日で確定でいいですか。 [12:53] はい、それで進めます。担当は鈴木さんにお願いします。 [13:01] 予算は百五十万の範囲で。

この場合、「十五日」「鈴木さん」「百五十万」がそのまま議事録の決定事項になるので、プレーヤーで12分48秒あたりから再生し、その部分だけを耳で確かめます。全体を聞き直すのではなく、決定事項・数字・人名の3点に絞って聞き直すと、確認にかかる時間は会議そのものよりずっと短くなります。

再生には、VLCのように再生速度を変えられるプレーヤーが便利です。早口の発言は速度を落として聞くと聞き間違いに気づきやすく、逆に雑談部分は速めて飛ばせます。

文字起こしから議事録へ:決定事項・担当・期限の抜き出し方

下書きを確認したら、議事録の型に流し込みます。社内でテンプレートが決まっていればそれに従い、なければ次の項目を基本にすると、読み手が必要な情報をすぐに見つけられます。

会議名・日時・場所
「第12回 新製品プロジェクト定例」のように、後から検索しやすい名前にします
出席者・欠席者
冒頭の読み上げや名乗りから拾います。敬称の付け方は社内の慣習に合わせます
決定事項
「〜で確定」「〜で進める」「異議なし」などの発言の周辺を探すと見つかります
担当者と期限
「誰が・何を・いつまでに」を1行にまとめます
継続審議・保留事項
結論が出なかった議題は、次回の議題として明記します

文字起こしのテキストを「確定」「お願いします」「次回」などの語で検索すると、決定事項や宿題の候補を素早く拾えます。要約の仕方については会議録音をメモにまとめる方法 (英語)も参考になります。

発言を議事録に引用するときは、話し言葉を書き言葉に整えます。「それでいいんじゃないですかね」は「賛成の意見があった」、「ちょっと持ち帰らせてください」は「〇〇部で検討の上、次回回答する」のように、意味を変えずに簡潔にします。発言者の真意が曖昧な箇所は、勝手に解釈せず、本人に確認してから確定させましょう。

mydublyで議事録の下書きを作る場合

mydublyはブラウザで使う文字起こし・翻訳ツールで、会議の録音ファイルからタイムスタンプ付きの文字起こしを作れます。画面は英語ですが、操作は多くありません。詳しくは音声の文字起こしページ (英語)にまとめています。

  1. ホーム画面の音声用エリア「Drop audio here」に録音ファイル(MP3、M4A、WAVなど)をドロップします。Web会議の録画ファイル(MP4など)は動画用エリア「Drop a video here」に入れます。
  2. 「Audio and text output」(動画の場合は「Full translation output」)のスイッチをオフのままにすると、「Timestamped transcript only」、つまりタイムスタンプ付き文字起こしのみのモードになります。話されている言語は自動で判定されますが、「Select language」で出力の言語を必ず選びます。日本語の会議なら Japanese を選べば、翻訳されずにそのまま文字起こしされます。
  3. 「Transcribe audio」(動画なら「Transcribe video」)を押し、処理が終わるまでタブを開いたままにします。途中でタブを閉じると処理は中止されます。
  4. 「Download timestamped transcript」で時刻付きのテキスト、「Download transcript」で時刻なしのテキストを保存し、WordやGoogleドキュメントで編集します。

料金は文字起こしなら1分あたり1クレジットで、1ファイルの最低料金は5クレジットです。60分の定例会議なら60クレジット($0.06)、2時間の長い会議でも120クレジット($0.12)です。登録時に無料で100クレジットが付くので、1時間分の会議録音を試しても40クレジットが残ります。

できないことも明確にしておきます。mydublyは話者の自動識別(誰が話したかのラベル付け)をしません。要約や決定事項の自動抽出もしません。アプリ内で文字起こしを編集する画面はなく、Web会議ツールとの連携やリアルタイムの文字起こしもありません。1ファイルは2時間までなので、それより長い会議は分割して読み込みます。分割のコツは長時間の文字起こしの記事で紹介しています。話者の区別が必要な理由と仕組みは話者分離(ダイアライゼーション)の解説 (英語)を参照してください。

社外秘の会議を扱うときの注意

人事評価、M&A、顧客の個人情報を含む会議の録音は、どのツールを使う場合でも社内規程の確認が先です。外部サービスに音声を送ってよいか、保存期間はどうするか、録音ファイルを誰が管理するかを、情報システム部門や個人情報の担当窓口に確認しましょう。

mydublyの場合、動画ファイルはブラウザの中にとどまり、ブラウザが取り出した音声だけがHTTPSで送信されます。アップロードされた音声と結果は、処理の完了から30分以内にサーバーから削除されます。ただし、これは社内規程への適合を保証するものではないため、判断は社内のルールに従ってください。一般的な考え方は文字起こしと個人情報の記事で解説しています。インタビューや取材の録音を扱う場合はインタビュー文字起こしのやり方もあわせてご覧ください。

よくある質問

文字起こしをそのまま議事録として配っても問題ありませんか?

形式上は可能ですが、読み手の負担が大きくなります。話し言葉の文字起こしには言いよどみや脱線が多く、決定事項が埋もれてしまうからです。逐語録が必要な会議でも、誤変換を直し、発言者名を付けたうえで配るのが一般的です。

発言者ごとに分けて文字起こしできますか?

mydublyには話者を自動で識別してラベルを付ける機能はありません。会議の冒頭で出席者に名乗ってもらい、発言の前に名前を言う運用にすると、ダウンロードしたテキストに手作業で名前を付けやすくなります。参加者が少ない会議なら、声の特徴とタイムスタンプを頼りに分けるのも現実的です。

会議中にリアルタイムで文字起こしできますか?

mydublyはリアルタイムの文字起こしに対応していません。会議が終わってから録音ファイルを読み込む使い方になります。会議中の字幕表示が必要な場合は、Web会議ツール側の字幕機能など別の手段を検討してください。

2時間を超える会議の録音はどうすればいいですか?

mydublyは1ファイル2時間までなので、休憩の区切りなどで録音を分割してから読み込みます。分割位置を議題の切れ目に合わせると、議事録の章立てとも対応して整理しやすくなります。録音を最初から前半・後半に分けて録るのも一つの方法です。

Web会議の録画ファイルも文字起こしできますか?

MP4やMOV、WebMなどの対応形式で手元に保存されていれば、動画用のエリアに読み込んで文字起こしできます。mydublyは会議ツールと連携していないため、録画をいったんファイルとして保存してから使ってください。録音データだけを書き出せる場合は、M4AやMP3でも構いません。

英語が混じる会議でも文字起こしできますか?

話された言語は自動で判定され、聞こえたとおりに文字にされます。ただし日本語と英語が一文の中で頻繁に切り替わる会話は、どちらかの言語に寄せて誤変換されることがあります。英語の製品名や略語が多い会議では、その部分を重点的に聞き直すと安心です。