やり方

インタビュー文字起こしのやり方:録音から記事化までの手順

インタビューの文字起こしは、録音を丁寧に取る、AIで下書きを作る、話者名を手で入れる、怪しい箇所だけ聞き直す、という順番で進めると効率よく仕上がります。この記事では、雑誌やWebメディアの取材、ユーザーインタビューを想定して、録音から記事化までの具体的なやり方を説明します。

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ご注意:mydubly の操作画面は現在英語のみです。日本語音声の文字起こし、日本語への翻訳、日本語音声の生成には対応しています(ボタンの表記が英語になります)。

インタビュー文字起こしの全体の流れ

最初に全体像をつかんでおくと、どの工程に時間をかけるべきかが見えてきます。インタビューの文字起こしは、おおむね次の6つの工程に分かれます。

  1. 取材前の準備:録音の同意を取り、機材と環境を整える
  2. 録音:対面なら録音機の位置、オンラインなら録画・録音の設定に気をつける
  3. 下書き作成:AIの文字起こしツールなどで、全体をテキストにする
  4. 話者名の追加:インタビュアーと回答者の発言を区別する
  5. 聞き直し:固有名詞や数字など、間違いやすい箇所を録音で確認する
  6. 記事化:Q&A形式やルポ形式など、媒体に合った形にまとめる

手作業だけで文字起こしをしていた頃は、3の工程に最も時間がかかりました。今はAIで下書きを作れるため、時間の使いどころは4〜6に移っています。作業時間の目安や考え方はインタビューの文字起こしにかかる時間 (英語)でも解説しています。

取材前の準備:同意と機材

録音する前に、相手に「記事作成のために録音させてください」と伝え、了承を得ます。メールでの取材依頼の段階で、録音すること、文字起こしの用途、公開前に原稿を確認してもらえることを書いておくと、当日の説明がスムーズです。ユーザーインタビューの場合は、録音データの扱いを同意書に明記するのが一般的です。

機材は、スマートフォンでも十分なことが多いですが、録り直しのきかない取材ではバックアップを用意しておくと安心です。スマートフォンとICレコーダーの2台で同時に録る、というのはベテランのライターもよく使う方法です。

  • 録音機は話し手の口から近すぎず遠すぎない位置に置き、相手の正面に向ける
  • カフェでの取材は、BGMやエスプレッソマシンの音が意外と大きく入るため、店の奥の静かな席を選ぶ
  • スマートフォンは機内モードにして、通知音や着信で録音が止まるのを防ぐ
  • 取材の冒頭で日付と相手の名前を声に出して録音しておくと、ファイル管理が楽になる

録音した音声や原稿には相手の個人情報が含まれることがあります。保管と共有の考え方は文字起こしと個人情報の記事を参考にしてください。

オンライン取材の録音で気をつけること

Web会議ツールでのリモート取材は、移動の手間がなく便利な反面、音声トラブルが起きやすい場面でもあります。相手のマイクが内蔵マイクだと部屋の反響を拾いやすく、通信が不安定だと音声が途切れます。

録画を始める前に、相手に「イヤホンマイクがあれば使っていただけますか」とお願いするだけでも、聞き取りやすさが大きく変わります。また、会議ツールの録画が失敗したときに備え、自分の側でも別のアプリで録音しておくと安心です。リモート取材の録音環境についてはリモートインタビューの録音方法 (英語)で詳しく紹介しています。

AIで下書きを作り、話者名を入れる

録音ができたら、AIの文字起こしツールで全体の下書きを作ります。AIの出力には「誰が話したか」が付かないことが多く、一続きのテキストか、時刻ごとに区切られた行として出てきます。インタビューの場合、ここに話者名を入れる作業が欠かせません。

一対一のインタビューなら、話者の区別はそれほど難しくありません。インタビュアーの発言は質問の形で終わることが多く、回答は長くなりがちだからです。日本のインタビュー記事でよく使われる「――」(ダッシュ2つ)をインタビュアーの発言の頭に付け、回答者は名前の頭文字や肩書きで示す、という書き方が定番です。

話者名を入れる前と後

入力前:「[08:12] 開業のきっかけは何だったんですか。 [08:15] 前の会社で物流を担当していて、地元にこういう店がないなと思ったのがきっかけです。」 → 入力後:「――開業のきっかけは何だったんですか。 山田:前の会社で物流を担当していて、地元にこういう店がないなと思ったのがきっかけです。」

複数人が参加する座談会やグループインタビューでは、声だけで話者を判別するのが難しくなります。収録時に「では田中さん、いかがですか」と名前を呼んでから話を振るようにしておくと、後の作業が格段に楽になります。

聞き直しを効率化する

下書きを頭から終わりまで聞き直すと、録音と同じだけの時間がかかります。聞き直す箇所を絞り込むために、まずテキストを読みながら、次のような箇所に[要確認]の印を付けていきます。

  • 人名・社名・地名・商品名:同音の漢字や、カタカナ表記の揺れが起きやすい
  • 数字:年号、金額、人数、割合などは記事の信頼性に直結する
  • 文脈が通らない箇所:聞き取りの誤りで、別の言葉に置き換わっている可能性がある
  • 相手が強調した発言:記事の見出しや引用に使う可能性が高い部分

印を付け終わったら、タイムスタンプを頼りに該当箇所だけを再生します。名刺や会社のWebサイト、相手の著書などで固有名詞の正しい表記を確認しておくと、聞き直しの回数も減ります。どこまで言いよどみを残すかは、素起こし・ケバ取り・整文の違いを参考に、記事の目的に合わせて決めましょう。

文字起こしから記事にまとめる

文字起こしが仕上がったら、記事の形式を決めます。日本のWebメディアや雑誌でよく見かけるのは、次の2つの形です。

Q&A形式(一問一答)
質問と回答を交互に並べる形。発言の臨場感が伝わりやすく、文字起こしを活かしやすい
ルポ形式(地の文+引用)
書き手の文章で流れを作り、印象的な発言をかぎかっこで引用する形。構成の自由度が高い

どちらの形式でも、取材の順番どおりに並べる必要はありません。読者が知りたい順に話題を並べ替え、重複する話はまとめ、脱線した部分は削ります。ただし、発言の意味を変えるような編集は避け、公開前に相手に原稿を確認してもらうのが一般的なマナーです。Q&A記事の組み立て方はインタビューをQ&A記事にする方法 (英語)でも紹介しています。

mydublyでインタビューの下書きを作る

mydublyは、ブラウザで音声や動画を文字起こし・翻訳できるツールです。インタビューでは、下書き作成の工程に使えます。画面は英語なので、ボタン名を示しながら手順を説明します。

  1. ホーム画面の「Drop audio here」に録音ファイルをドロップします。スマートフォンのボイスメモ(M4Aが多い)、ICレコーダーのMP3やWAVなどに対応しています。取材を動画で撮った場合は「Drop a video here」に入れます。
  2. 「Audio and text output」のスイッチはオフのままにします。これで「Timestamped transcript only」、つまり時刻付き文字起こしのモードになります。話されている言語は自動で判定されます。
  3. 「Select language」で出力の言語を選びます。話されている言語と同じ言語(日本語の取材なら Japanese、英語の取材なら English)を選ぶと、翻訳なしでそのまま文字起こしされます。海外ゲストへの英語インタビューを日本語のテキストで読みたい場合は「Japanese」を選ぶと、文字起こしのテキストが日本語に翻訳されます。
  4. 「Transcribe audio」を押し、完了まではタブを開いたままにします。
  5. 「Download timestamped transcript」で時刻付きのテキストを保存し、話者名の追加や聞き直しに使います。

料金は文字起こし(翻訳付きを含む)なら1分1クレジットで、1ファイルの最低料金は5クレジットです。60分の取材なら60クレジット($0.06)、40分の英語インタビューを日本語テキストにしても40クレジット($0.04)です。登録時の無料100クレジットで、合計100分ぶんの取材を試せます。

一方で、mydublyには話者を自動で区別する機能はなく、要約やアプリ内での編集機能もありません。話者名の追加や記事化は、ダウンロードしたテキストを使って自分で行います。1ファイルは2時間までで、それより長い取材は分割が必要です。音声の文字起こし機能の詳細は音声の文字起こしページ (英語)、スマートフォンの録音から始める場合はiPhoneの録音を文字起こしする方法をご覧ください。

よくある質問

1時間のインタビューを手作業で文字起こしすると、どのくらいかかりますか?

録音の状態やタイピングの速さ、仕上げ方によって大きく変わるため、一概には言えません。一般に、手作業では録音時間の何倍もの時間がかかると考えておくのが無難です。AIで下書きを作り、確認と修正に時間を使うほうが、全体の作業時間を短くしやすくなります。

インタビュアーの質問も文字起こしに残すべきですか?

Q&A形式の記事にするなら、質問も残しておくのが基本です。ルポ形式でも、どの質問に対する答えなのかが分かると、発言の文脈を誤解せずに済みます。記事にする段階で、質問を短く整えたり省いたりすれば十分です。

相手が方言で話している場合、文字起こしはどうすればいいですか?

AIの文字起こしは標準語に寄せて認識しやすく、方言の言い回しが別の言葉に置き換わることがあります。方言を活かした記事にするなら、該当箇所を録音で確認して表記を直しましょう。標準語に直す場合も、意味が変わらないかを相手に確認できると安心です。

録音を相手に知らせずに取ってもいいですか?

取材やユーザーインタビューでは、録音することを事前に伝えて了承を得るのが基本的なマナーです。相手との信頼関係にも関わりますし、所属先によっては録音のルールが定められていることもあります。迷う場合は、編集部や所属組織の担当者に確認してください。

グループインタビューの文字起こしで話者を分けるコツはありますか?

収録時に、司会が名前を呼んでから発言を促すのが最も効果的です。オンラインなら、録画映像で誰が話しているかを見ながら名前を入れる方法もあります。mydublyは話者の自動識別をしないため、時刻付きのテキストと録画を照らし合わせて手作業で名前を付けます。

文字起こしのテキストをそのまま相手に確認してもらうべきですか?

通常は、文字起こしではなく、記事の形にまとめた原稿を確認してもらいます。文字起こしは量が多く、言いよどみも含まれるため、確認する側の負担が大きいからです。発言の正確な記録が必要な調査などでは、文字起こし自体を確認してもらうこともあります。