日本語字幕が必要になる典型的な場面
英語の動画に日本語字幕を付けたい、という相談は職場でも学校でもよく出てきます。たとえば次のようなケースです。
- 海外本社から届いた英語の研修動画を、国内の社員向けに日本語字幕付きで配信したい。
- 自社の担当者が海外の展示会で登壇した講演の録画を、日本の顧客にも見てもらいたい。
- 英語の授業で使う、自分で撮影したインタビュー動画に、理解を助ける日本語字幕を付けたい。
- 自分で撮った海外旅行の Vlog に、現地の人の英語の発言を日本語で表示したい。
いずれも共通しているのは「動画ファイルが手元にあり、使う権利がある」ことです。他人が公開している動画を勝手にダウンロードして字幕を付け、再配布するのは著作権の問題になり得るので、その場合は権利者に確認してください。
字幕作りの全体像:3つの工程に分けて考える
英語動画の日本語字幕づくりは、大きく分けると次の3工程です。
- 書き起こし:英語の音声を文字にし、発話ごとの開始・終了時刻を付ける。
- 翻訳:英文を日本語にし、時刻はそのまま引き継ぐ。
- 仕上げ:日本語として読みやすい長さ・改行に整え、固有名詞や数字を確認する。
以前はこの3つを別々の人や道具で行うのが普通でしたが、今は1と2をまとめて自動化し、3に人の時間を集中させるやり方が主流になりつつあります。仕上げの工程こそ、字幕の質を決める部分だからです。
mydubly で日本語字幕の SRT を作る手順
mydubly はブラウザで使える文字起こし・翻訳アプリで、1と2の工程をまとめて行えます。操作画面は英語なので、ボタン名をそのまま載せておきます。
- トップページの「Drop a video here」に英語の動画ファイル(MP4、MOV、WebM、MKV、M4V)をドロップします。1ファイル最長2時間までです。
- 「Full translation output」はオフのままにします。オフの状態は「Timestamped transcript only」と表示され、字幕と文字起こしを作るモードです。
- 「Select language」で Japanese を選びます。これで文字起こしの本文と字幕が日本語に訳されます。英語は自動判定されるので、元の言語を指定する必要はありません。
- 「Transcribe video」を押します。動画ファイル自体はブラウザの中に残り、抽出された音声だけが HTTPS で送られます。処理中はタブを閉じないでください。
- 完了したら「Download subtitles」で subtitles.srt を保存します。確認用に「Download timestamped transcript」で時刻付きのテキストも保存しておくと便利です。
字幕・文字起こしの料金は1分あたり1クレジットなので、30分なら 30 クレジット($0.03)です。登録時の 100 クレジットの範囲に収まります。日本語の音声吹き替えまで作る場合は1分あたり50クレジットになり、30分で 1,500 クレジット($1.50)です。
mydubly が行わないことも知っておいてください。字幕を動画に焼き付ける機能、字幕の編集画面、話者ごとの色分けや名前表示はありません。画面に映っている英語のテロップやスライドの文字も翻訳されません。SRT は UTF-8(BOM 付き)で、発話ごとに1行の字幕が並ぶ形で出力されます。機能の全体は字幕生成ツール (英語)のページにまとまっています。
1行の長さを日本語の字幕らしく整える
自動翻訳の字幕で一番気になりやすいのが、1枚の字幕に長い日本語がぎっしり並ぶ状態です。英語の1文をそのまま訳すと、日本語でも30文字、40文字になることは珍しくありません。
日本の映像翻訳では、1行あたり十数文字・最大2行、という慣習が長く使われてきました。YouTube や社内動画ではそこまで厳密でなくても構いませんが、次のような直し方をすると見違えるほど読みやすくなります。
- 長い字幕は、助詞や読点の後ろで改行して2行にする。
- それでも長いときは、キューを2つに分け、時刻も半分ずつに割り振る。
- 「〜ということになります」などの冗長な言い回しを「〜です」に縮める。
- 英語の「you know」「I mean」に当たる訳は、意味がなければ省く。
直す前:「私たちは来四半期に新しい物流センターをオープンする予定であり、それによって配送時間が短縮されると考えています」/直した後:1行目「来四半期に新しい物流センターを開設し」2行目「配送時間を短くする計画です」
文字数の目安と考え方は字幕の文字数ルールで詳しく解説しています。
固有名詞と数字は必ず人が確認する
自動翻訳の字幕で誤りが目立ちやすいのは、文法より固有名詞です。公開前に次の点をチェックしましょう。
- 人名:英語の発音から推測したカタカナが、本人や会社の公式表記と違うことがあります。登壇者名は公式サイトの表記に合わせます。
- 製品名・社名:日本法人がある会社は、日本語での正式名称があるか確認します。
- 専門用語:業界で英語のまま使う言葉を無理にカタカナや和訳にしていないか見ます。
- 単位:マイルやフィート、華氏はそのまま訳されます。視聴者に合わせて換算を添えるかは、編集方針として決めてください。
- 数字:「fifteen」と「fifty」のような聞き違いは、音声認識の段階で起こり得ます。金額や日付は元の音声と照らし合わせます。
固有名詞の扱いについては人名・専門用語の翻訳 (英語)も参考になります。
できた SRT を YouTube や編集ソフトに入れる
完成した日本語の SRT は、使う場所に合わせて読み込みます。
- YouTube:YouTube Studio の「字幕」から日本語を追加し、ファイルをアップロードする際に「タイミングあり」を選びます。詳しい流れはYouTube の字幕翻訳の記事で解説しています。
- 動画編集ソフト:Premiere Pro や DaVinci Resolve などは SRT を字幕トラックとして読み込めます。フォントや位置を整え、字幕を映像に焼き付けて書き出すのもこの段階です。
- 社内共有や授業での再生:VLC などのプレーヤーなら、動画と同じフォルダに同じ名前で置くだけで字幕が表示されます。
書き出し前に、必ず最初から最後まで一度再生してみてください。字幕が早すぎる・遅すぎる箇所、場面転換をまたいで残る字幕は、通しで見て初めて気づくことが多いものです。
字幕ではなく日本語音声のほうが合う場合
視聴者が画面を見続けられない作業手順の動画や、文字を読むのが負担になる年配の方向けの案内動画では、字幕より日本語の音声のほうが伝わることがあります。mydubly では「Full translation output」をオンにすると、日本語の音声トラックを作り、元の尺に合わせた動画として書き出せます。
ただし声は8種類の既成ボイスから選ぶ方式で、話し手本人の声を再現したり、口の動きを合わせたりすることはできません。英語から日本語への翻訳全般の考え方は英語から日本語への動画翻訳 (英語)にまとめてあります。
よくある質問
英語の動画に無料で日本語字幕を付けられますか?
mydubly では登録時に 100 クレジットがもらえ、字幕の作成は1分1クレジットなので、合計100分ぶんまでは追加料金なしで試せます。ただし短いファイルでも最低料金として5クレジットかかります。無料分を使い切った後は、1ドル単位でクレジットを買い足すプリペイド式で、月額の契約はありません。
日本語字幕の自動翻訳はどのくらい正確ですか?
録音の明瞭さ、話す速さ、専門用語の多さによって大きく変わるため、一概には言えません。はっきり話された講演なら内容をつかむには十分な下書きになることが多い一方、人名や数字、冗談は誤訳が起きやすい部分です。公開する字幕は、必ず日本語のわかる人が確認してください。
英語字幕と日本語字幕を両方作れますか?
作れます。まず「Select language」で English を選んで処理すると翻訳なしの英語の字幕が、Japanese を選んで処理すると日本語の字幕ができます。それぞれ別のジョブとして料金がかかるので、合計の分数で見積もってください。
字幕を動画に焼き付けたいのですが、どうすればいいですか?
mydubly には字幕を映像に焼き付ける機能はありません。ダウンロードした SRT を Premiere Pro や DaVinci Resolve などの編集ソフトに読み込み、字幕付きで書き出してください。焼き付けるとプレーヤー側で非表示にできなくなる点は覚えておきましょう。
英語のスライドやテロップも日本語にできますか?
mydubly が翻訳するのは話されている音声だけで、画面上の文字は対象外です。スライドの内容が重要な場合は、元のスライドを日本語版に差し替えるか、編集ソフトで日本語のテロップを重ねる必要があります。
英語の発音になまりがあっても字幕になりますか?
多くの場合は文字起こしされますが、強いなまりや早口、複数人の同時発話があると聞き違いが増えます。マイクに近い位置で録った音声ほど結果が安定します。仕上がった字幕のうち、聞き取りにくかった部分を重点的に確認すると効率的です。
