YouTube の字幕翻訳には2つの種類がある
ひとことで「YouTube の字幕翻訳」といっても、実は性質の違う2つの仕組みがあります。
- 視聴者側の自動翻訳:動画に付いている字幕を、YouTube が機械翻訳して好きな言語で表示する機能。視聴者が設定から選びます。
- 投稿者がアップロードする翻訳字幕:投稿者が言語ごとの字幕ファイルを用意し、YouTube Studio で登録するもの。内容は投稿者が責任を持って確認できます。
視聴者として外国語の動画を見たいのか、投稿者として自分の動画を海外にも届けたいのかで、取るべき方法が変わります。以下ではまず仕組みを、次に投稿者向けの手順を説明します。
自動翻訳字幕はどうやって作られているか
視聴者側の自動翻訳は、大きく2段階で成り立っています。
- 字幕の元を用意する:投稿者がアップロードした字幕があればそれを、なければ YouTube が音声認識で自動生成した「自動字幕」を使います。
- 機械翻訳する:その字幕を、視聴者が選んだ言語に機械翻訳して表示します。
パソコンのブラウザなら、動画の右下にある歯車のアイコンから「字幕」を開き、「自動翻訳」で言語を選ぶと切り替わります。字幕が1つも付いていない動画や、自動字幕が生成されていない動画では、この機能は使えません。
ポイントは、翻訳の質が1段階目の字幕の質に大きく左右されることです。投稿者がきちんと確認した字幕を元にした自動翻訳と、雑音の多い音声から自動生成された字幕を元にした自動翻訳とでは、同じ機能でも読みやすさがまったく違います。
自動翻訳字幕の限界:誤りは2段階で積み重なる
自動字幕の段階で聞き違いがあると、翻訳はその誤りを前提に訳すため、意味がさらに遠ざかります。日本語は同じ音の言葉が多いので、特に起こりやすい問題です。
話した内容:「貴社のご要望を伺いました」/自動字幕:「記者のご要望を伺いました」/英語への自動翻訳:「I heard the reporter's request」→ 取引先への丁寧なあいさつが、記者の話にすり替わってしまいます。
ほかにも、次のような点は自動翻訳字幕の苦手分野です。
- 字幕の区切りが文の途中にあると、前後の文脈が切れた状態で訳される。
- 人名・地名・商品名が、一般的な単語として訳される。
- 句読点のない長い自動字幕は、文の切れ目が判断しにくく、訳が不自然になりやすい。
- BGM が大きい、複数人が同時に話す、といった動画では、そもそも自動字幕が生成されにくい。
視聴者として、他人の動画を翻訳して見たいとき
外国語の動画を理解したいだけなら、まずは YouTube の自動翻訳を試すのが手軽です。字幕の質が低いと感じたら、投稿者が別の言語の字幕を用意していないか、字幕の言語一覧を確認してみましょう。
なお、他人の動画をダウンロードして自分で翻訳字幕を作り、公開し直すことは、権利者の許可がなければ著作権の問題になり得ます。かつて YouTube には視聴者が字幕を投稿できる機能がありましたが、2020年に終了しています。翻訳に協力したい場合は、投稿者に直接申し出るのが筋です。詳しくは他人の動画の翻訳と権利 (英語)を参照してください。
投稿者が YouTube Studio で翻訳字幕を登録する手順
自分の動画に翻訳字幕を載せる基本の流れは次のとおりです。画面の表記は変わることがあるので、大まかな流れとして参考にしてください。
- YouTube Studio を開き、左のメニューから「字幕」を選びます。
- 字幕を付けたい動画を選び、「言語を追加」で英語や韓国語など翻訳先の言語を追加します。
- 追加した言語の字幕欄で「追加」を選び、「ファイルをアップロード」から「タイミングあり」を選んで SRT ファイルを指定します。
- プレビューで表示とタイミングを確認し、公開します。
字幕と一緒に、タイトルと説明文も言語ごとに登録しておくと、その言語で YouTube を使っている人の目に留まりやすくなります。やり方はYouTube のタイトル・説明文の翻訳 (英語)にまとめています。チャンネルによっては、字幕ではなく言語別の音声トラックを追加できる場合もあり、その考え方はYouTube の多言語音声 (英語)で解説しています。
mydubly で YouTube 用の翻訳字幕を用意する
YouTube Studio に登録する SRT は、自分で作る必要があります。mydubly はブラウザで動く文字起こし・翻訳アプリで、YouTube にアップロードする前の元の動画ファイルから、翻訳字幕の SRT を作れます。
- 「Drop a video here」に、YouTube に上げた動画の元ファイルをドロップします。mydubly は URL からの読み込みに対応していないため、ファイルが手元にあることが前提です。
- 「Full translation output」をオフにし、「Select language」で翻訳先の言語を選びます。元の言語の字幕が欲しい場合は、話されている言語と同じ言語を選びます。翻訳されずにそのまま出力されます。
- 「Transcribe video」を押し、終わったら「Download subtitles」で subtitles.srt を保存します。
- 言語ごとに繰り返し、ファイル名を「動画名_en.srt」「動画名_ko.srt」のように付け替えておくと、登録時に取り違えません。
日本語・英語・韓国語の字幕をそれぞれ作ると、10 クレジット × 3回で 30 クレジット($0.03)です。登録時にもらえる 100 クレジットの範囲に収まります。
SRT は UTF-8(BOM 付き)で出力され、YouTube の字幕アップロードでそのまま使える形式です。一方で、mydubly には字幕の編集画面がなく、発話ごとに1行の字幕が並ぶ形で出力されます。長い字幕の改行、人名の表記、話者名の追加などは、アップロード前にテキストエディタで直してください。手順はSRT ファイルの作り方の記事で、英語動画に日本語字幕を付ける具体例は英語動画への日本語字幕で紹介しています。機能の詳細は字幕生成ツール (英語)のページをご覧ください。
翻訳字幕を公開する前と後にやっておきたいこと
翻訳字幕は、一度登録して終わりにしないほうが効果的です。
- 公開前:字幕を最初から最後まで再生し、タイミングのずれや、場面転換をまたいで残る字幕がないか確認します。
- 公開前:字幕の言語設定が正しいか(英語の字幕を誤って日本語として登録していないか)を確かめます。
- 公開後:コメント欄で翻訳の誤りを指摘されたら、SRT を直して差し替えます。
- 過去の動画:再生数の多い過去の動画から順に翻訳字幕を追加していくと、少ない手間で効果を確かめられます。
字幕付き動画の運用全般については、YouTube の字幕づくり (英語)のページも参考になります。
よくある質問
YouTube の自動翻訳字幕を日本語で表示するにはどうすればいいですか?
パソコンのブラウザでは、動画の右下の歯車アイコンから「字幕」を選び、「自動翻訳」で日本語を選びます。動画に字幕が1つも付いていない場合や、自動字幕が生成されていない場合は、自動翻訳は表示されません。
自動翻訳字幕の日本語がおかしいのはなぜですか?
自動翻訳は、元の字幕を機械翻訳したものだからです。元が音声認識で自動生成された字幕だと、聞き違いや句読点のない長文がそのまま翻訳され、誤りが積み重なります。投稿者が確認済みの字幕を登録している動画ほど、翻訳も読みやすくなる傾向があります。
自分の動画に翻訳字幕を付けると、海外の人に見てもらいやすくなりますか?
その言語の視聴者にとって内容が理解しやすくなるのは確かです。検索や表示への影響は一概には言えませんが、字幕に加えてタイトルと説明文も翻訳しておくと、その言語で探している人に届きやすくなります。
YouTube の動画リンクを mydubly に貼って字幕を作れますか?
できません。mydubly は URL からの読み込みに対応しておらず、動画ファイルを手元からドロップする必要があります。自分のチャンネルの動画なら、アップロード前の元ファイルを使ってください。
YouTube に登録できる字幕ファイルの形式は?
YouTube は SRT をはじめ、いくつかの字幕形式に対応しています。mydubly でダウンロードできるのは SRT 形式で、UTF-8 で保存されているため、日本語や韓国語の字幕でも文字化けしにくい形です。
翻訳字幕と多言語音声はどちらを用意すべきですか?
目的と手間で選びます。字幕は費用が安く、話し手本人の声を残せるのが利点です。言語別の音声は、字幕を読むのが苦手な視聴者や、ながら見されやすい動画で効果的ですが、作成費用は字幕より高くなります。まず字幕で反応を見てから音声を検討する、という順番も一つの方法です。
